いつも同じ。


彼の優しさに期待しても、結局『娘』という壁にぶち当たる。


どんなに想ったって、何も変わらないのに……。


それでも繰り返してしまうのは、きっと……。


きっと――……。





「…………だろ」

「――え?」


少し不機嫌そうな彼の声に、あたしは顔を上げた。


あたしを見つめる彼は、やっぱり不機嫌そうで。

だけど、とても真剣な瞳をしていた。


そして言うんだ。


「子どもじゃなくて、女の人だろ?」

「……っ」


そのまま、彼はあたしの手を握り、玄関を出た。