「残りは、もういいから」

「え?」


スーザンは、髪の後ろのピンを留め直しながら私にウインクした。



「見積りより安くなりそうだから」


「でも、………」



「元々、モモコが払うのはおかしいトラブルだったのよ、モモコが私を嫌っていないのが分かっただけhappy」



私モモコじゃないけど………。




「ありがとうございます」

「良かったですね、桃尻先輩」


空野握手が微笑んで そう言うと、


「モモジリ?モモコのニックネーム?どんな字を書くの?」



スーザンが携帯を持って食いついてきた。



「″桃″って漢字と、ケツです」


「スマホで変換したら″ 穴 ″が出てきたわ」

「正解は ″ 尻 ″ です」



………どっちも 違うから。



「モモジリ!4校時の授業さぼっちゃダメよー!」




時計を見て、慌てて玄関へ入るスーザン。



「じゃ! 先輩と仲良く一緒に遅刻とか思われたくないんで」



その後を追うように早歩きになる握手。





「あ!待って!これ、返すから!」





先日渡してくれた封筒を鞄から出して、ブンブン振り見せる。




「使っていいよ!」


「は?」




振り返って、



「島沢さんの誕生日プレゼントに使い なよ!元々それが目的だったでしょ?!」




私の心を複雑にする言葉を笑顔で放った。




どこまで、いい奴なんだろー。




私を、イラつかせるくらい。