「じゃ、何でそんなにお金持ってたの?やっぱ援交してんじゃん!」



みんな、見てくれだけで、その人のできる可能性を想定したくなるんだね。



私も、きっと、そうだけど。




「空野君と同じ、清掃作業のアルバイトしてるから」



…………きっと、そうだったけど。



「は?アッシュと同じ?」




ずっと、ホットカーラー巻き続けた髪は、すっかり痛んじゃって……



「そう、美々ビルディングでアルバイトしてる」



何もしてないと、
可哀想で目も当てられないくらい。



「…………似合わねぇ……」




だけど、もういいや。



「作業着とか軍手して?」


「うん、建設現場ならヘルメットかぶるし」




もし、島沢先輩にばれて、
その事で嫌われて、終わってしまっても




「…………マジかよ」



もう、いいやって思えてきたの。







チロチロリン ♪♪♪♪♪



「はい!あ、睦月ちゃん?」

羽田は、私に目をやりながらも
携帯電話にかかってきた女の子からの電話を取って話始める。



その間に、わたしはいそいそとその場を離れて本日も貞操を守れたことに感謝____。