辛かった。悔しかった。私は鉛筆を握り締めたまま、ぴくりとも動くことができず、ただ静かに涙を流すことしかできなかった。

 泣いても、容赦なかった。泣くと嘘泣きだと罵られ、ブスがもっとブスになると、そう嘲笑われる。

 この時、私は初めて授業中に立ちあがり、教壇に向かう。先生に一言「保健室行ってきます」とだけ告げ、「わかりました」とだけ了承を貰うと、早足にその場を去った。

 保健室に向かうつもりだったが、気付けば屋上にいた。授業中だから、誰もいない。

 私は声に出して、泣いた。心のバランスが完全に崩れた瞬間だった。

 それから中学受験までは私は笑うことさえもできなくなった。

 何をしても、私がデブでブスであり続ける限り、私の行動は全て否定されると、そう悟ったからだ。感情を殺して、ただ黙々と勉強する。それが唯一の安定剤だった。