まあ、だからと言って、過去が変わるわけではない。許すこともできない。


「それで、この高校に来たら、細川がいたってわけだ。これも何かの縁だな」


――こんな縁、私は欲しくなかった。

 喉元まで出かけたものをぐっと飲み込む。


「ずっと謝りたいと思ってたんだ。言葉だけじゃ信じてもらえないと思う。だから、俺に出来ることがあったら言ってほしい」


 至って真面目な顔をして言うものだから私も言葉を返す。


「それって罪滅ぼしってこと?」
「ああ、そうだ」


 ならば、彼にできることは一つしかないだろう。私はそれを提案する。


「は?」


 戸津は眉間に皺を寄せた。やっぱり、怖い。調子に乗りすぎたか。でも、これが私の本心だ。


「それ本気で言ってるの?」


 こくりと頷く。相手は、納得していないようだ。


「『話しかけるな』っていうのがお前にとって罪滅ぼしなのか?」


 私は何度も確認され、だんだんと恐怖心が勝ってくる。目が見れなくなった。
 だが次の言葉で私は一気に頭に血が上った。


「……細川さ、それでいいのか」
「は……?」


 反らしていた目を戻し、はっきりと目の前のこいつに目をやる。