「和くん、」

「……」

「ねぇ、和くん」

「……」

「何も言わないってことは、
 それが和くんのこたえってこと?」


どこまでも広がっていく、赤のなかで、彼はとても穏やかに微笑んで、"ごめんな、真帆"と言葉をひとつ落として、私の頭をそっと撫でて、その手はやがて、力なく滑り落ちた。