蒼の王様、紅の盗賊

 
 
 
 
 
───フッ。

すると、牢の中から微かに息の漏れる音がした。



シュリは、何かと思いアスラに改めて目を向ける。








「......何故だ....」



シュリは、アスラを見て思わず言葉を溢した。

シュリはまた....アスラに予想を覆された。






「何故....そんな顔で笑う!?」




そう。アスラは笑っていた。
シュリの放った、その言葉に。



憐れむような

諦めるような

悲しい....哀しい顔で、彼女は笑ってシュリを見ていた。





そして彼女は、言った。



「あんたには───分からないさ
.....世界を知らない可哀想な王様」




シュリは、何かを言い返そうと口を開いた。

だが、その口からは何も言葉は出てこなかった。



あくまで強気だった彼女の、シュリが最も嫌う悪を進む者の
哀しすぎる程のその笑みに、何も言葉が出てこなかった。









「.......話は終わりだ」



シュリは暫くの沈黙の後、ゆっくりとその場から立ち上がり
そう言いながら、アスラに背を向けた。


そして背を向けたまま、言葉を続ける。






「───所詮は、お前も悪。
....やはり悪人などとは、分かり合える気がしない」




「......」



牢の中に響く低いその声を、アスラは何も言わずに耳を傾ける。