王様と盗賊。
二人の間には、圧倒的な立場の差があるはずなのに
やはりその差は、全く感じられない。
アスラの強気な姿勢。
シュリの嘲るような視線。
その両方が交ざり合って、何とも言えない張り詰めた空気がこの空間を支配していた。
「.....分かった。じゃあ教えてやるさ、その民の声って奴をね。
よく聞いておきな?」
そんな異様な程の空気の中。
ぶつかり合う二つの視線の末に、アスラはフッと小さく笑いを溢して
シュリに向い、口を開いた。
「私が....私たちが盗賊なんてことをやってる理由はただ一つ。
───生きるためさ。この残酷な世界をね」
アスラは、はっきり....ゆっくり
忌々しげに、吐き捨てるような口調でそう言った。
「.....何?」
そして予想とは違った、アスラのその言葉にシュリは思わず聞き返す。
盗賊は、己の欲のために盗みを働く輩だ。
そう思っていたシュリは、まさか盗みを働くその理由に『生きるため』だなんて言葉が来るとは
予想していなかった。
「聞こえなかったのか?
私が盗賊となり、盗みを糧としている理由。
それは、この世界をただ生きるためだ」
睨むような視線を含ませた笑いを浮かべて、アスラはもう一度
シュリの蒼い瞳を捉えて、はっきりと言う。

