「......」
「誰しも大切で守りたいものは最終的には己の身。どれだけ偽善を重ねそれを口にしようとも己の身が危うくなれば此処に生きるような者達など簡単に切り捨てる。
人とはそういう卑しい生き物。
人はただ生きているだけで罪人のようなものです。
......。さぁでは先に進みましょう。
この環境は貴方のような方に長居は悪すぎる。早く済ませてしまわねば」
タッ。
再び歩き出すレスト。
今までその鱗片にも関わることの無かった目の前の現実を前に愕然としていたシュリはその動きにハッとしたようにレストの背中を追いかける。
「早く済ませるとは、お前は今から此処で何をするつもりなんだ?」
「......この国を綺麗に、この国をより住みやすい国にする第一歩を踏み出すのですよ。シュリ様」
「第一歩?」
「もう直に分かります。
これはシュリ様にしか出来ないことでございます。
......貴方の命であるからこそ、意味があるのですから」
「え?」
「さぁあの建物の中です。
フードをもっと深く、貴方のその顔が見えることの無いようより深く」
「あ、あぁ......」
ッ。
ギィィイッ。
扉の軋む不快な音。
それは何処かこの扉が開いてしまうのを必死に拒むような音にも聞こえた。
それでも開いてしまった扉の先。
シュリの蒼い瞳がその先の光景を見ることはなく、そこで彼の視界と意識が同時に途切れた。
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