蒼の王様、紅の盗賊










「此処は表の街の者からはスラム街と呼ばれ敬遠される場所で御座います。

表側の生活から様々な事情でに弾き出された者達が肩を寄せ合い暮らす場所。
表側から追い出された者が行き着く掃き溜めのような街」



「スラム街......」



「このスラム街は昔から......先代の王である貴方の父上の時代から存在しますが、そんな身を隠しやすいその状況に乗じ其所らの盗賊団や悪党どもが頻繁に出入りしこの場所を牛耳り近頃では闇の拠点と成り果てております。
そしてその勢力はじわじわと拡大、この国を脅かそうと密かに動き出したとの報告を我が部下より受け調査を続けておりました」





スラム街。
表の社会では生きられない貧困層が生きる街。

汚れた空気。傍に流れる排水路にはヘドロのような水とは言えない水が溜まり異臭を放ち、そこら中には病を蔓延させるネズミ達が行き交う。
隙間風も凌げそうにないトタンを張り合わせたような家屋がひしめき合う。
此処ではそんな家でも在るのが良い方で、そんな家すら持てない者達が路上で布切れ一枚を敷いてそれを住処としている。

彼等はパンとも分からないようなカスカスの固いパンを齧り明らかに濁った汚れた水でそれを胃に流し込み飢えを凌ぐ。
街からは渇いた咳があちらこちらから聞こえ、何かしらの病が蔓延していることには間違いない。
だがそうだとしてもそれを治そうとする者は誰も居ない。真っ当な薬も医者も此処には無い。


衛生環境が悪いという段階を遥かに超えた場所。








「......。幼い頃、父の時代にこのような場所が在るというのは聞いたことがあったが未だにこのような場所がこの国に.........」



「このような場所が消えることは無いでしょうな。
この国の何処かで財を溜め込み自らの私腹を肥やす者が消えない限り。ですがそんな者が消えることはあり得ない、この国に限らずこの世界から」