蒼の王様、紅の盗賊









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どんなに恐ろしい光景が広がっているのか覚悟した。
彼等が目指す目的地。
それはレストの密かな調査でその存在が明らかとなった、悪を憎む正義の蒼の王様が治めるこの国でその厳しい目を掻い潜り蔓延るならず者達の巣窟。
盗賊や悪党などが情報や金をやり取りをする裏社会の街。


本来ならばそのような存在が明らかとなった時点で王であるシュリに報告し兵達を送り込みすぐにでも取り締まらねばならない場所。


シュリの忠実なる臣下であるレストであるならば真っ先にそうしなければならないはずなのだが、彼なりに考えがあり今まで機を伺い監視を続けていたという。
それは上辺だけではなく根本から壊滅させる為。
その為にはある程度自由に泳がせてその事情を奥深くまで探った上でその悪の核を炙り出すという頭の切れるレストならではの考え。



初めにそのことを聞いた時にはシュリは取り乱したが、冷静にレストの話を聞き納得をした。


ただ悪という存在を何よりも憎み嫌うシュリは、その存在を知ってしまった以上レストに任せきりでただ王の椅子に座ってその成り行きを見守るということは出来なかった。
紅の盗賊によってより顕著に表れ始めた彼の正義感がシュリをこの今の行動へと駆り立てた。


自らその悪の中に身を投じその核を突き止めるという極めて危険な行動に。










「此処が目的の場所でございます」



曲がり角の先に在ったのは薄汚れた街だった。

路地から抜けた先は急に拓け脇にはトタンで出来た質素な住宅が軒を連ね、住人と思われる柄の悪い男や汚れたボロボロの服を纏った痩せ細った女子供が道を行き交う。

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そこには想像したような凶悪な光景ではなく、見窄らしくはあるがごく普通の日常が流れていた。