二人にしか聞こえぬような声で言葉を交わしながら前へと進んでいく。
細くぐねぐねと入り組んだ路地を右に左に慣れたように淡々と前を行くレスト。
変に目立つことをしてはいけないからか後ろを行くシュリのことを振り返ることもせずスタスタと前を行く。
そのテンポは思いの外早い。
いつもの忠実で気遣いのあるレストと比べその様子に些か違和感を感じたが、今はこれ以上距離を離されてはいけないとその背中をシュリは必死に追う。
......。
歩けば歩けども続く薄暗く廃れ切った路地。
今この二人が向かっている目的地はこの路地の奥の奥。
奥へ行く程に深まる嫌な雰囲気に自ずと歩みを進めるシュリの身体に力が入る。
カツンッ。
暫くして前を行くレストの足が交差する道の手前で止まる。
これまでにも幾つか同じような道を通ってきて何度も曲がり角を右に左に曲がりもう城に戻る道も分からない。
「さぁ、シュリ様。
目的地はこの角を曲がった先で御座います」
目の前で立ち止まるレストがスッと腕を右に差し出す。
目的地。
この曲がり角の先にようやく二人が目指す場所がある。
目的地という言葉に緊張が走った。
だが此処まで来た以上もう引き下がる訳にはいかない。
やると決めて城を出てきた。
王として、正義を貫く一人の人として。
「レスト、行くぞ」
シュリは初めてレストより先にその一歩を踏み出した。
レストが示す曲がり角の先をシュリの蒼色の瞳がしっかりと捉えた。

