蒼の王様、紅の盗賊

〜4〜






向こうの空が明るくなってくる。
支配していた闇をじわじわと昇る太陽の眩い光が取って代わって世界を照らす。

目覚める世界。
目覚める街。人。

それぞれの夜が明けてそれぞれの今日が始まりを告げる。















コンコンッ。




「失礼致します」


「入れ」



ガチャッ。
ギイィィッ......。





「御準備の方はいかがで御座いましょう?」



「あぁ、もう直に整う。問題は無い」



「良い顔をしておりますな。
正義感に満ち溢れたこの国の君主たる聡明な御顔をしております」




朝日が差し込む広い部屋の中で主君とその忠実なる臣下が向き合う。

すっきりと短くなったシュリの銀色の髪の髪がサラリと揺れ、その姿をレストの隻眼が見つめる。
良い顔。
そう言葉を漏らしてレストは薄く笑う。






「さぁでは、行くとしましょう」


「あぁ」



パサッ。
レストに促されてシュリは手にしていた何かを羽織る。

それは王の威厳を象徴する滑らかな深紅のローブ。
ではなく、まるで威厳の面影も無い質素で薄汚いボロボロの布切れのようなローブ。そのフードを顔が見えぬくらいにすっぽりと被る。
ローブのその下にはいつになく飾り気の無いシンプルな服、そして腰には護身用の短剣を忍ばせる。
このような格好をするのはシュリにとって生まれて初めてだった。








「......城の者に勘繰られぬよう此方から参りましょう」



ッ。
まるで城に盗みに入った盗人のような忍び足で周りを気にしながら部屋を去って行く。
自らの居城であるはずのこの城を他者の目を忍んで抜け出す。

何故?
それは混乱を避ける為。
そして城の者さえ知られてはならない事情がある為。