蒼の王様、紅の盗賊









無知で従順な操り人形。
一国の王であるシュリに対して酷い言い様である。






...........。
だがその表現は強ち間違いとも言えなかった。


今までのシュリの政治。
彼は過去の傷を引きづりその記憶に囚われたままその根源である悪を撲滅すべく自警団を組織しそれに全力を注いできた。
国の為。
民の為。
そうシュリは信じてきたが、それはただの建前で本当はただ自分の大切なものを奪った悪に対する復讐の為でしかなかった。



国の為民の為と本当に思っているならば、王である彼は率先して前線に立ち国をその目で確と見つめなければならなかった。
だがシュリはそれをしなかった。

向き合うことを恐れた。
過去の自分と決別出来ずに己の殻に引きこもり城からも出ることをせずに、ただ命令を下し人を動かしてその報告を鵜呑みにしまた命令を下す。
この国を直接自らの目で見ることをせずに、他人伝の報告や書類でしか見ようとしなかった。
命令を下すだけで直接的なことは任せ切りだった。


例え命令とは違うことが国で起きようと彼の耳に入ることなく見過ごされてきた。
彼は、王は、シュリは何もこの国のことを知らなかった。
そのことにすら気が付いていなかった。









「確かに今までの様にはいかなくなるだろうな。

奴が己の目でこの国の現実を見れば黙ってはいない。
どうにかして悪を、我等を排除しようと足掻き喚くだろう。
今までの都合の良い傀儡政治は終わる」





「ふぅ......このままずっと何も知らないまま利用されていればよかったのに、面倒な坊や」


「だね。
そんなことになったら僕達の自由が効かなくなる」







実質的に今までこの国を動かしてきたのは、シュリではなくこのレスト。

優秀で忠実なる臣としてシュリからもそして民からも絶対的な信頼を得ているこの国で唯一の男。
シュリを支え国を支えてきた男。








............。



「レスト様。
このままにしておけば、我等“廃翼の盗賊団”はこの都合の良い狩場を失うことに。
いかがなさるおつもりですか」




シュリが信じているのは、民が信じているのはーーーこの国が信じているのはこの男の表の顔。
欲に塗り固められた偽りの顔。








「そろそろ潮時か」








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