ギリッ。
思い浮かべる情景に興奮したように歯軋りをした。
その表情は人でない。
完全に血に飢えた獣のものだった。
「平和に惚けた奴等が力を前に何も出来ず平伏す姿.........思い返すだけでも滑稽で愉快!
金にも食うものにも困らない満たされた生温い日常が当然と思っている間抜けな輩、その息を絶つ刃が己の喉元にまで突き付けられるまで分からない。
そんな奴等が国の頂点に居って良い国になるはずが無いのだ。
........そのような国の存在がこの世界を腐らせる、ならばいっそ跡形も無く消え去った方が良い!
それが、この世の為だ!」
「うふふふ、あら団長ったら今日はいつもよりも興奮してるじゃない。
何かあったの?ふふっ」
つい言葉に熱が入ってきたレストに、リズがそれを面白がるように言う。
ッ。
「あの世間知らずの小僧が、動き出した」
「え、あぁら!あの坊やが?
うふふ、今更どういう風の吹き回し?
両親が死んだあの事件以来、王座には就いたものの外の事は貴方に任せっきりで塞ぎ込んで城に閉じ籠りきりだったっていうのに」
「この国の王としてそして悪を憎む一人の人間としてちゃんと向き合わねばならない。
それが我等が王シュリ様の御意志」
ッ。
自分の言葉に思わず笑いを零す。
「王として、か。
フ、フハハハハッ!
今回の紅の盗賊の一件で糞みたいに甘ったるい奴の正義というやつが疼いたんだろう。
笑わせてくれるじゃないか、気高くお偉い偉大なる我等が王様は」
馬鹿にしたような笑い。
家臣としての敬意などは微塵も無い嘲笑。
シュリが心より信頼している優秀な臣であるはずのレストの面影は無い。
本当に別人、いや別の生き物である。
「ウフフフ、あらでも団長それじゃあ困るんじゃない?
今まで貴方の言うことなら何の疑いも無く信じて聞いていた素直で従順な王様が自分の意思を持って動き出したら、今までみたいに懐柔出来なくなるわ。
無知で従順な可愛い操り人形じゃ無くなる」

