蒼の王様、紅の盗賊










「ハハハッ!
すっごいや!団長ってば本当よくこんな所でやっていけるね!

僕ならこんなつまらなくて刺激が無くて何も知らずに群れてるような下らない集団の中になんて三日も居られない。虫酸が走って全部壊したくなっちゃうもんなぁ、ハハッ」



ニコニコと笑いながら男の子も言う。

無邪気なその笑顔と発する言葉。
一瞬何でも無いように錯覚するが、改めてよく思い返すとそれが余りに不釣り合いで思わず耳を疑う。













ッ。





「確かに........虫酸が走るな」



数拍置いてレストが答える。

.......。
その声色は先程とは明らかに違うものになっていた。
嘲笑を含んだ、普通の者なら嫌悪感を覚えるようなそんな声。

それはこの城に居る者達の知らぬレストの一面。








「まぁそれもあと少しの辛抱だ。
直にこの国も堕ちる」



.......。




「いつかのあの国のようにな」





ゾクリと背筋を這うような低い声。

いつかのあの国のように。
国の名は発しなくてもその場に居る者達が思い浮かべたものは同じ。
レスト以外他の二人がその"いつか"に居合わせた訳ではないが思い浮かべたのは今は亡き一つの国。












「...........あの時の突き抜けるような悲鳴と断末魔、思い返すだけでゾクゾクする。
血が沸き立つような感覚だ」






あの場に居合わせたのはレストだけ。
しかもこの男はその中心に立っていた。



..........。
眼帯に隠されていない淀んだ翡翠色の瞳。
その瞳の裏側に思い返されるあの時の記憶。


きらびやかで幸せに満ち溢れた空間が打ち砕かれたあの瞬間。
全てのものが砕け散り、悲鳴と断末魔が飛び交う。


恐怖に戦く人達。
蒼白し何も言えなくなる者に、発狂し自ら向かってくる者。
そして泣き叫び命乞いをする者。

そんな者逹全て斬り捨てた。



美しい純白の空間に飛び散る鮮血。
もう誰の物かも判らない無数の血飛沫で一瞬で真っ赤に染め上げられた。

手に伝わる血肉を裂く鈍い感覚。
ヌルリとした血の感触。
自分が手を下した屍達を踏み越えていく優越感。








.