シュリは、夕陽のオレンジで映える街の景色を食い入るように見つめた。
シュリは大好きだった。
ここから見るこの景色が。街が。
この国が....凄く好きだった。
だから、幼い頃から次の王だと決められていても抵抗はなかった。
いや、むしろ嬉しかった。
自分が、この大好きな国を守れるんだ。
そう思うだけで、胸が弾む。
だからシュリは現在この大好きな国の王である父を尊敬し、見習おうと日々努力していた。
勉強だって、剣術の稽古だって頑張ってやってきている。
成果だって、ちゃんと出てきている。そのはずだ。
『父上みたいな王様になりたい』
それがシュリの一番の願いであり、これから先ずっと変わらないこと。
これからも父を見習い、自分が王様となる遠き日を思って毎日を過ごす。
そしていつかはこの国を立派に束ねていけるような王様に。そうして大好きな父と母に褒めてもらうんだ。
そう思っていた。
そのはずだった。
だがこの時、シュリのそんな想いとは裏腹に、平穏で幸せな日々な終わりがもうすぐそこまで迫っていたのだ。
.....この時が彼にとって、シュリにとって幸せを感じられた最期の時────だったのかもしれない。
────トントン。
これから起こることなど全く知らないシュリが心から幸せな想いに浸りながら窓辺で佇んでいると、唐突にノック音が聞こえた。

