蒼の王様、紅の盗賊

 


 
 
 
「これで....いや、これがいいです!」




「そうですか?残念ですわ。
もっとシュリ様を立派にして差し上げたかったのに。

.....まぁ、仕方ありません。シュリ様がそうおっしゃるなら」





従者たちは、そう言って凄く残念そうな顔をした。
そして『時間になったら迎えに参ります』と言い残して、部屋を出ていく。

その姿をシュリは用心深く見届けて、ホッと肩を撫で下ろした。







「ふぅ....」



部屋の中、ようやく一人になったシュリは大きく一つため息をつく。
このほんの数時間で、一気に疲れた気がする。




そう思いまた溜め息をつくと、目の前に在る鏡に映る自分の姿に、目をやった。



自慢の長い銀髪は、まるで女の子のように結い上げられ、服はいかにも王子ですといった感じの装飾品のオンパレード。
目元は少し顔を引き立てるためとかで、薄く化粧が。



まるで....どこかのおとぎ話の王子様。

まぁ、実際シュリは王子なのだから問題はないのだが。







「───恥ずかしい」



鏡に映る自分の姿が、大勢の人の前に出ることを想像して思わず、そんな言葉が零れた。



だが、そういくら思ってもシュリにはどうしようも出来ないのでそのまま諦めの溜め息をついて、鏡から目を逸らす。

諦めよう。腹を括ろう。
そう決心して気分を入れ替えるため、窓の方へと歩み寄った。









「わぁ....綺麗だ」



シュリが覗き込んだそこには、陽が沈みかけオレンジ色に染まる

城下の街の姿があった。