シュリは、勢いに負け結局すごすごと謝ってしまう。
元々、あまり気の強い方ではないシュリはいつもこんな感じで言い負かされてしまう。
これでも一応、王子であり次期王位継承者であるシュリなのだが。
これでは、威厳の欠片もない。
「さっ、急いでお支度しますよ、シュリ様!
今日はシュリ様が主役なのですから、みっともない姿はさせられません!
私たちの腕の見せ所ですわ」
シュリの手を掴み、そう言う彼女の目はいつになく爛々と輝いている。
その目の輝きに、シュリは思わずゾッとした。
あまり意見を主張出来ないシュリにとって、こんな従者の気合いはどんな格好をさせられるか分からないただの恐怖でしかなかった。
ゾクゾクとした寒気までしてくる始末だ。
「さぁ、シュリ様?早く行きますわよ♪」
そんなシュリの気持ちとは裏腹に、グイグイ引っ張られ連行されるシュリ。
「ま....待ってよぉ...」
そんなシュリの弱々しい叫びは目を爛々と輝かせる彼女に....聞こえることはなかった。
彼は情けなく、彼女について行くしかなかった。
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