蒼の王様、紅の盗賊

 
 
 
 
 
「分かったよ、父上。

皆を待たせちゃうようなら、父上みたいな王様になれないもん。


僕、支度してくるね!」




前王の言葉に、シュリはそう答える。
パッと前王から跳ね退き、そのまま背を向けて部屋の外へと続く扉へと駈けていく。

そして扉の前まで来ると、父の元を振り返り笑顔で手を振った。





「父上ー!また後で!」




シュリは勢いよく手を振ると、また前王に背を向けそのまま部屋を後にした。





その時、振り返り見た父の顔はよく覚えてはいない。


......またすぐに会える。
そう、この時は未だ思っていたのだから。









「シュリ様、捜しましたわよっ!
何処に行ってらしたのです!?」




部屋を出るなり、数秒後。
シュリの姿を見付けた従者が、風の如くに翔んできた。

そのあまりの勢いに、シュリは思わず後退る。






「ち....父上の所。
父上とお話してたんだよ」




勢いに、多少負けながらもシュリは必死に説明する。





「シュリ様、今日はシュリ様の誕生祭なのですよ?

お父上とのお話は、いつでも出来るでしょう?
優先すべき順序を考えて頂かなくては!」




尚も、従者の勢いは止まらない。





「ご....ごめんなさい」