蒼の王様、紅の盗賊

〜2〜 





『───僕、父上みたいな優しい王様になるんだ!!』




三年前のあの日。

一人の少年が、顔一杯に笑みを浮かべて幸せそうに言った。







「───シュリは、本当にいい子に育ってくれた。

私は、父としてとても嬉しいぞ」




満面に笑みを浮かべる少年....つまり心も身体も今よりずっと幼かったシュリを前に


前王であるシュリの父は、シュリの頭に大きな手を乗せて

優しく撫でてやる。





撫でられ、少し照れ顔だが

シュリは....とても幸せそうだった。








「.....そうだ、シュリ。

今日はお前の14度目の誕生祭であったな。
準備は、もう済んだのかい?」




前王は、シュリの頭を撫でていた手をゆっくり下ろし

穏やかな視線をシュリへと向け、思い出したように口を開いた。






「───あ....」



その言葉に、ハッとしたように目を見開くシュリ。


この様子だと、今日が自分の誕生を祝う日だと言うことを

すっかり忘れていたらしい。





そんなシュリの様子に、前王はフフッと笑いを溢す。




「───まだなら早く準備をしておいで?

主役のお前が、夕刻からの式典に遅れるなんてこと出来ないだろう?」




そう。

この日は、シュリが主役の日。



たくさんの人が、シュリの誕生を祝って祝福してくれる

シュリにとって、幸せな日だった。