蒼の王様、紅の盗賊

 
 
 
 
 
 
 
「.....これより我等が王シュリ様の名の下、罪人アスラの処刑を行なう」



レストの声が、また再び低く響き渡る。








―――ギイィィ....。

そしてその低く響き渡る声の余韻がまだ残る空間の中に、今度は金属音が重なった。
それはシュリたちが出てきた馬車とは違う、もう片方の鉄に囲まれた飾り気のない馬車の厚い鉄の扉の開く音。








「衛兵、罪人を」


「はっ!」



開かれた鉄の扉にレストは近くの衛兵に命じる。
命じられた衛兵は、レストに敬礼をして開かれた扉へと駆け寄る。





「さぁ、早く出てこい!グズグズするんじゃない!」



馬車の中へ向かって、衛兵は怒鳴り付ける。

その怒鳴り声は、鉄に囲まれたその馬車の中で反響してその車体を震わせた。
その震えに馬車を引く馬は、ブルッと一度大きく身を震わせたがすぐにまた落ち着いておとなしくなった。





――――ッ。

ゆらり、揺れる影がまた一つ民衆の注目の前に現れる。
足がカツンッと地面に降り、そしてスラリとした身体が地面に影を作る。










「――――あれが、紅の盗賊....かよ」


「うそだろ?
あれ....女じゃねぇか」




民衆は、再び騒めいた。

シュリが現れた時よりも、レストが現れた時よりも人々の騒めきは大きかった。
集まった人、すべての視線が鉄に囲まれた馬車から降りてきた影―――美しい紅い髪を揺らして降りてきた少女の姿に、釘付けになっていた。