蒼の王様、紅の盗賊

 
 
 
 
 
 
 
その言葉に、シュリは無言のまま民衆に向けていた視線を誘導の先へと向け直す。




カツンッ。
そして身を翻して、その視線の先へと靴音を響かせ向かう。


幾らかの段差をゆっくりとした足取りで上り、その頂点に置かれた椅子へと悠々と腰掛けた。

その椅子からの景色は、巨大に築き上げられた処刑台が正面に見え、それを囲むように集まる民たち全てを見下せた。
優越感。そんなものに似た感情が、ほんの少しシュリの中を駆け巡った。







――――ガチャンッ。

シュリが用意された椅子へと腰掛け、それでも尚治まらぬ人々の騒めき。
その中でまた、シュリが出てきたあの馬車の扉が再び開いた。







「―――静まれ」



再び開かれたその扉から、出てきた黒い影が低い声を響かせた。
低い声。でもこの空間の空気を震わせた。





――――....ッ。

騒めき立っていた人々の声が、一瞬で止む。
そしてシュリへと向けていた民たちの視線が、馬車から降りてきたその黒い影へと一気に注がれる。




注目を一身に集めるその影は、堂々とした足取りで人集りの真ん中に開いた空間の中心へと進み出る。
身に纏うマントのような服を翻して、片目を灰色の髪を揺らして黒い影―――レストは表情のない顔で民衆を見据えていた。