蒼の王様、紅の盗賊

 
 
 
 
 
 
 
扉が開いたのは、細やかな装飾が施された美しい豪華な馬車の方だった。



開かれた扉から、一人の従者のような者がまず外へと出てくる。
そしてその従者は、辺りを一瞥するとまだ馬車の中に居る誰かを振り返り気遣うように、手を差し伸べた。






――――ッ。

周りの空気の質が一気に変わったような気がした。



寒気を感じるような季節ではないはずなのに、この場に居た全ての者が背筋が凍るような感覚に襲われた。

その原因は、従者らしき者の手を取りゆっくりと民衆の前へと姿を現した―――その人の纏う圧倒的な雰囲気だった。







「......あれ、まさか」


現れたその姿に、静まり返った民衆の中から呆気にとられたように呟く声が聞こえた。
その声は、周りが静かなせいかやけに大きくこの空間に響き渡った。






――――ッ。

呟く人の声。
そして馬車の中から完全に姿を現したその姿に、人々は息を呑んだ。





流れるような銀色の長い髪。
まだ成人になりきれていない、少年の面影の残る顔。それでいて威厳に満ちた、貫禄すら感じさせるような圧倒的な存在感。

そして、見るものを捕らえて離さない鋭い蒼色に煌めく瞳。






「シュリ様.....」