「紅の盗賊には、自警団も梃摺っていたからな。ようやく捕まって、王もお喜びだろうさ。
その紅の盗賊ってのは、どんな奴か拝んでみたいもんだな」
「ハハハ!
あの自警団でさえ梃摺ったんだ。きっとガッツリとした大男とかに違いねぇさ!」
紅の盗賊。
それはここ最近、この国を騒がせていた盗賊の異名。
蝶のように華麗に舞うように盗み、そして風の如く追っ手を撒く。
フードを被り顔こそ見えないが、そのフードの下から覗く紅の瞳がこの名を付けさせた。
巷では謎に満ちた盗賊として、話題に上がることもしばしば。
正体は分からないが、世間を騒がせる紅の瞳をした盗賊。その姿が、民たちの興味をそそったらしかった。
――――パッパァッ。
人々交わし合う声の騒めきの中。
唐突なラッパの音が、街の広場へと響き渡った。
騒めいていた人の波はその音に一気に静まり、皆がその音のした方へと注目をした。
ギイィィー.....ッ。
皆が送る視線の先、そこには巨大な城門へと続く一本道。
その視線の先にある城門が、軋む音を街中に響かせながらゆっくり開いていく。
「.....来たぞ!」
人込みの中で、誰かが叫んだ。

