蒼の王様、紅の盗賊

 
 
 
 
 
 
 
――――ッ。

蔑むような紅い瞳に、アスラの胸ぐらを掴んで離さないシュリの身体がビクッと震えるのが分かった。
目を見開き驚いたように、ほんの少しだけたじろぐ。



そのアスラの瞳に、暫らく何も言うことが出来ずにいたシュリだった。

だがこのまま黙っていれば、シュリの立場が王としても面目がなくなる。
盗賊という彼にとっての下賤を前に、屈する訳にはいかなくてまたアスラに強気且つ威厳をその蒼い瞳に戻した。








「.......言いたいことは、それだけか。

お前のような奴が何を言おうが、所詮戯言。何の意味もない。
これ以上お前と話しているのは時間の無駄だ。労力の浪費だ。これで終わりにしようか、悪人さん?」




感情が剥き出しになっていたシュリの声は、再びいつもの冷静な声へと戻っていた。

そしてそれから、王としてのシュリの声へと変貌していく。
纏う空気がシュリという一人の男から、王としてのものへ。空間が一気に張り詰めたような気がした。






「紅の盗賊、アスラ。
お前にもう、明日はない。今日この日この国で.....そしてこの俺の前で、その命―――果ててもらう。

衛兵、衛兵ッ!」




「――――ハッ!」


「この罪人を、処刑執行場所まで連行しろ。
.....私も向かう」