声を荒げ、迫るシュリ。
そんなシュリに胸ぐらを掴まれ締め上げられる、アスラの首元。
そんな状況の中でも尚、アスラの声は冷静だった。
「――――ッ」
「五年前に両親を殺されて、一人きりになった孤独の王様。
それから今までずっと、この城に.....そして己の中に籠もり続ける哀れな王様。
そんなあんたが自分は過去に囚われていないと、そう言えるのか?」
アスラは動じなかった。
抵抗もしない。
ただ、自分の胸ぐらを怒りに満ちた形相で掴み掛かるシュリの哀しみを纏った蒼い瞳を、ただ真っ直ぐと見つめて言うだけ。
そんなアスラはとても凛々しかった。
だけど凄く、哀しげだった。
「......人は過去を忘れることなんて出来ない。
でもその事実を認めようともしないで、ただ逃げている奴なんて―――ただの屑だ。自分だけが可哀想だとか、辛いだとか.....そう思っている奴は、ただ哀れなだけだ。
そう。あんたみたいな奴は」
アスラを見るシュリの凍るように冷たい蒼い瞳。
その蒼いと対するはずのアスラの燃えるような紅い瞳。
だがこの時だけはその瞳の中に美しい紅を残しながらも、その光は凍てつく真冬の海のように冷たく、醒め切っていた。
「――――私はそういう奴が、世の中で一番嫌いだ」

