怒りの形相で怒鳴り合うのも恐いが、これはこれで別の何か沸々と込み上げる静かな恐ろしさがある。
二人の間には、異様な空気が流れていた。
「―――喜べ。
今、お前のために我が国の総力を上げて、お前の死に場所を作っているところだ。
そして正午、お前の汚れた盗賊の人生が終わる。俺が終わらせてやる。
どうだ、感謝の気持ちが沸いてきただろう?」
「......さぞ立派な死に場所なのだろうな。
あんた曰く、薄汚い罪人の私には、もったいないんじゃないか?
私はあんたが.....王が直々に手を下すほど、立派な者じゃあないんでね」
シュリの言葉。
そして続くアスラの言葉。
「フンッ....謙遜だな。
この国中をあれだけ騒がせた"紅の盗賊"が何を言う?
十分、相応な対応だと思うがな」
「....いや、謙遜しているわけじゃないさ。
ただあんた自身が手を下して、あんた自身が大嫌いな悪人になるんじゃないかって私は危惧しているのさ。
手を下す、つまり人をその手で殺める。私たち盗賊なんかより、罪は重いと思うが?」
「......俺は正義のため、この国から悪を排除しているだけだ。
俺に非はない。正義のためだ。
正義というものを貫くためには、生半可じゃ意味がないんだ。徹底的にやる....それが俺のやり方だ」

