それは何故か?
その理由は、バルトが今これからしようとしているその行動にあった。
「───じゃあ、その任務ついでにもう一つ
.....俺の頼み、聞いてくれません?」
「ん、何....ッ!?」
────バキッ。
.....何かが折れるような、嫌な音がした。
「うわ....痛そう───」
そう。
バルトの気が引けた理由の答えは
.....たった今、バルトに顔面パンチを食らわされて、地面に伸びる衛兵の姿にあった。
「やべ....やりすぎたかな?」
バルトは、自分の拳が衛兵の顔にめり込むと同時に聞こえた
何とも嫌な音を思い出し、苦笑を浮かべつつ頭を掻く。
少し気になり覗き込もうとも思ったが
ちょっとそれも怖いので、やめておいた。
「....すまねぇな、おっさん」
横たわる衛兵に、静かに合掌するバルト。
可哀想だと思うが、今はアスラの命が懸かっている。
背に腹は代えられない。
暫く合掌した後に
バルトは、すっかり夢の中の衛兵から甲冑(かっちゅう)のような服を剥ぎ取り
その服を、自らの身に纏った。
「────これでよし、と!」
バルトは、衛兵の服を身に纏った自分を見直す。
......よし。
これで外見は、完璧なはずだ。

