「そ....そうなんですか!
実は俺、旅してて今日この国に着いたばっかりで。
宿を探していたら、こんな所まで.....」
「───旅人?」
あたかも何も知らなかったように、動揺を見せるバルト。
それが演技だとは、露も知らない衛兵は
怪しむ目線を送りつつも、バルトの容姿を凝視する。
薄汚れた砂色のマント。
くたびれた深緑のズボンに、所々に穴の開いたブーツ。
確かにこの街の....この国の者ではないらしい。
「......その口調からすると、本当に何もしらなかったらしいな。
それなら何も咎める必要はない」
衛兵は、バルトを一通り見回して彼に向けた疑いを解いたのか
剣の柄を握る手の力が、フッと揺るまった。
その様子を、フードの奥から確認しバルトは怪しく微笑む。
「宿を探しているのなら、あっちの方に行くといい。
人が多い所だから、そこで誰かに聞くのがいいだろう」
「そうですか!
ありがとうございます!」
「いや、構わぬ。
困っている者を助けるのも、我々の任務だからな」
バルトのフードの奥に秘めた怪しげな笑みも知らず
衛兵は、誇らしげに敬礼をする。
こんな仕事熱心で、道まで教えてくれる衛兵に
バルトは、少し気が引けた。

