───コツ....コツンッ。
舗装されたベージュ色の煉瓦が敷き詰められた一本道。
さっきまで夕陽の光を跳ね返しオレンジ色を放っていた街はまるで墨を溢したような暗さに包まれて刻々と夜を迎える準備をしているようだった。
そんな薄暗い闇に不規則にバルトの足音が響く。
隠れもしない。
変装もしない。
ただただひたすらにその先にあるはずの場所を目指していた。
その様子は忍び込むにしてはあまりに堂々たるもの。
そんな堂々とした侵入者であるバルトをみすみす城を護る衛兵が見逃すはずもなく。
「───ちょっと、そこの君?」
案の定、正面の薄暗い闇の中からバルトに向かってそんな制止の声が掛かる。
早くも絶体絶命....かと思われた。
だがそんな衛兵の制止の声を待っていたかのようにバルトは深く被ったフードの中で、密かに口元を緩める。
「はい───?」
バルトは制止と共に正面からやってきた衛兵にわざとらしくオドオドした様子で答える。
「君、こんな所で何をしているんだね?
この先は我が国の誇る城。
一般の者が来る場所ではないのだがな」
ッ。
衛兵はまだ辛うじて剣は抜いていないものの完璧にバルトを怪しんでいる様子で、腰の剣に手を掛けている。
何か少しでも怪しい動きをみせたら、すぐに抜剣しその刄でバルトを捕らえるつもりなのだろう。
この状況、もしそんなことになればバルトの勝機は薄い。

