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─────....。


陽が暮れかけた街。
白く塗装された家々の壁やベージュの煉瓦が敷き詰められたアーケード。

その全てが沈みながらより一層濃さを増した陽にオレンジ色に染め上げられていた。




ッ。

街を行き交う人の波は陽が暮れようとも昼間と然程変わりはなくオレンジ色に染め上げられた街を彩っている。


そんな行き交う人の波に一人。
明らかに他の者と違う目的を胸に秘めた青年が、人の波に紛れ込むように佇んで居た。










「────行くか」



バッ。
砂色のマントを翻し、顔はフードの奥深くに潜ませて彼は―――バルトは決意を新たに人混みの中を歩き始めた。








(さて、これからどうするかな....)




バルトの頭の中ではこれから先に起こるであろう最悪の未来を回避すべく幾重もの考えが交錯する。


最悪の事態。

それは仲間との別れ。アスラの死。

今、彼女は囚われている。
悪を憎む『蒼の王様』が治めるこの国の暗い地下牢。
盗賊という悪名の元、一人捕まっている。






何処の国でも、盗賊たちの風当たりは当たり前だが良くはない。

だが例え他の国で、盗賊として捕まったとしても幾らか相当の罪を償えばまた陽の光を浴びれる。