蒼白したままの顔で、バルトはジルの言葉を聞くと

数秒の沈黙の後に、おもむろにジルと子供たちに背を向け
そして、自分の乗ってきた馬に手を掛けた。






「.....!?
まさか君、一人で城に行くつもりじゃあるまいね!?」



バルトの行動に、驚きの声を上げて、ジルは彼を引き止める。

すると、バルトはゆっくりとジルを顧みて
蒼白したまま、でも瞳に強い意志を宿らせてジルを....そして子供たちを見た。





「もちろん───行くさ」



「き....君!
アスラの仲間と言ったら、君も盗賊じゃろう?


この国は君達への風当たりは、他の国よりずっと強い。
捕まれば....死罪じゃぞ!?」





ジル自身、アスラを助けたいのは山々だ。


だが今、自分が行ったところで何にも出来ないで終わるということは
想像に難くない。

それに、捕まっている罪人であるアスラを助けるということは悪に手を貸すと見なされ
この国では自殺行為。




それが分かっているジルには、今バルトがしようとしていることは

無謀なこととしか思うことが、出来なかった。





「......」



ジルの言葉に、バルトは暫く黙り込む。

ジルの言葉に、迷っているのか?
そうとも思ったが、次に彼の口から出てきた言葉は
そんな考えを覆すものだった。