「.....お?」
思いの外、懐いてしまった馬を宥めるように撫でてやるジル。
そんなジルは、ハッと馬の背に何かが括り付けられていることに気が付く。
「....何じゃ、あれは?」
不思議に思い、その何かに手を伸ばしてみる。
だが、手は届かない。
あと一歩....あと一歩だけ前に出れば、手の届く位置にあるのだが。
ジルは、何とかその何かに手を掛けようと足を小刻みに動かして
少しずつ前に進もうと試みる。
....端から見ると、何だかとても滑稽な動きだ。
だが、ぎっくり腰のお年寄りジルには今の最大の移動方法。
細かいことは、あえて指摘しないようにしておこう。
そんな細やかな気遣いなど露知らず、ジルは必死になって手に伸ばす。
もう少し、あと少しで手が届く。ジルは動かぬ体に鞭を打ち力を振り絞った。
そして。
「───届いた!」
その馬の背に括り付けられた何かは、鞄のようなものだった。
ジルはその鞄の取っ手に手を掛けて、自分の方に手繰り寄せる。
「これは....何じゃ?」
鞄の中に入っていたのは、お金の入った布袋と何枚かの洋服と、一枚の地図のようなもの。
.....そして、袋に一杯入ったお菓子だった。
「誰かの落とし物かの?」

