蒼の王様、紅の盗賊

〜6〜




ヒヒーンッ。

馬の嘶く声が、廃墟のある町外れに響き渡る。



その空を裂くような鳴き声に、ついさっき向こうの方に走り去っていった子供たちが
何事かと戻ってきた。






「....わぁ、馬だぁ!」



子供たちは嬉しそうに駆け寄る。
馬に....ジルに鼻の頭を撫でられて気持ちよさそうにしている馬に。





「おぉ、お前たちか」



「ねぇねぇ!ジルじいちゃん!
この馬、どうしたの!?」




ジルは駆け寄ってきた子供たちに気が付き、視線を向けた。

子供たちは、恐らく初めて見る馬の姿に目を爛々と輝かせて
馬とジルを交互に見る。






「───あぁ、こいつじゃな?
この馬は、さっき向こうから走ってきたんだ。妙に懐いてしまってのぉ」



ジルは馬の方に視線を戻すと
気持ちよさそうに目を細めている馬に、困ったように笑う。




そう、この馬はついさっき道の向こうから猛スピードで走ってきた馬。
ジルを撥ねるような勢いで、突っ込んできたあの馬だった。




あの時、ジルに向かって突っ込んで来るその寸前

ほんの数センチ手前で、馬はスピードを緩め
そして止まったのだ。


そして理由は分からないが、この馬はほんの数分の間に
ジルにこれほどまでに懐いてしまっていた。






「ねぇ、ジルじいちゃん!触ってもいい?」



困ったように馬を見つめるジルに、子供たちは待ちきれなくなったのか

ウズウズしたように、目をキラキラさせながら
ジルに、お願いと目線を送る。