「......よし、行くか!」
少しの間、空の青を流れる白い雲に心を任せて
バルトは勢い良く体を起こした。
「頑張るか!
アスラが、俺を待ってるからな」
バルトは、外套に付いた砂をパッと払って
気分を入れ替えるように、声を軽く張り上げる。
「....でも、どうするかな」
でも今のバルトには、頼れるものは自分の足しかない。
馬があれば、速いのだが
バルトの馬は、遥か道の彼方へ消えてしまっていた。
やはり歩いていくしかないのかと、バルトは辺りを探る。
「....あ!」
そしてバルトは、あるものを見付けてしまった。
それはバルトの居る道から少し外れたところにある、ポツリと建つ一軒家。
....そして、その隣にある
「あれ、馬小屋じゃねぇか?」
馬小屋だった。
目を凝らして見てみると、中には何頭か馬が居た。
....バルトが今、最も求める───馬が居た。
「......」
バルトの頭の中で、色んな考えが飛び交う。
馬があれば、早くアスラに会いに行ける。
だが、あれは民家の馬。
別にバルトは、盗賊なのだから盗んでしまってもいいような気もするのだが
彼には彼なりのプライドがあって
一般の何も知らない民からは何も盗まないというのが、彼の中での決まりだった。

