「遅いー!冷めちゃうでしょー!」
既にテーブルで待っていた愛さんは、少々不機嫌。
「ごめんごめん」
そんな愛さんの所に、謝りながら小走りで行って席についた。
「では!気を取り直して…いただきます!!」
「いただきまーす」
ふたりで手をあわせて、パンと目玉焼きとヨーグルトを口に入れた。
「紗奈ー、あんたまたそんな格好で行くのー?」
愛さんが私の格好を見ながら言う。
今の私は完璧な[地味子]だ。
「うん。バレたら面倒だし」
「だからって~、可愛い顔してんのにもったいない!」
その言葉に私は軽く笑って、再びトーストをかじった。
愛さんの方が可愛いのにな…
「逆に浮くでしょ、そんな格好じゃ」
目玉焼きを頬張りながら聞いてきた愛さんの言葉に頷きながら答える。
「まぁね。おかげでいじめられっ子まっしぐら」
「いじめ!?」
私の言葉を聞いた愛さんは、
「許さない…可愛い紗奈をいじめるなんて…今日そいつらしめてやる!!」
と、怒りをあらわにした。
朝からそんな殺気、よく出せるな。
「平気だよ。あんなもんで私がやられると思う?」
「そりゃ…思わないけど…」
あんなの痛くも痒くもない。
ていうかやることが幼稚すぎてくだらない。
「それに、愛さんがあの人たちに乗り込んだら、私の正体もバレちゃうし」
地味子の私と麗桜の総長が繋がってたなんて知れ渡ったら大変だ。
「う~…でも~」
「大丈夫だって。いざとなったら自分でしめる」
「まぁ…それもそうね」
良かった。なんとか納得してくれたみたい。
「心配してくれてありがと。ごちそうさま」
私はそのまま家を出た。