ICUを離れて医局に戻る途中、ある男性に話しかけられた。


「すいません!あの…柚姫ってどこにいますか?」


「あ、あの電話の方ですか?」


「そそそうです!えっと華原優樹と申します
。」


「お兄さんですか?」


「はい!そうです!!」


「なら、こちらに来てください。」


「はい」


そう言って、ICUに連れていく。


「あれから柚姫は目を覚ましてないですか?」


「はい、一度も目を覚ましてません。」


「そうか……俺がちゃんと管理しとけば…!」


「……?」


管理?


どういうことだ?


「実は日曜日に柚姫の友達の結婚式で披露宴に参加してる時に倒れてとても危険な状態で、つぎの日まで目を覚まさなかったんです……で、僕の病院で入院させてたら脱走してて、それに気づいて電話した時がちょうどあのときだった……みたいな感じです」


「いつから柚姫は心臓が悪いんですか?」


「生まれつき悪かったんです。で、高校生の時に心肺停止になって、大きな手術をして治って数値もだいぶ安定していたんですけど、4月の末に再発したかもって気づいた頃にはもう半年以上前からおかしかった体調も全て心臓のせいだということが分かって…それから見て見ぬふりをしてこの様です……」


思ってた以上に、柚姫は危険な状態に晒されていた。