あれから、二ヶ月が経った。


そろそろ、夏の暑い感じも薄らぎ、秋の風が吹きこんできた。


柚姫は、あの日、様態が今まで以上に酷かった。


手術中、胸を切った時、喘息発作が起きた。


すぐに中断して喘息の治療をした。


また再びはじめて、最後まで1通り終わるのに予定より一時間延びた。


それから、心拍数が安定せず、喘息発作も度々でて酷かった。


誰もがもう会えないと思った。


呼吸器に繋がれ、たくさんの点滴を受けたか弱く小さな体はもう動かないんだって。


お母様も泣いていた。


お兄様もその妻も泣いていた。


雪も泣いていた。


看護婦だって泣いていた。


だって、何もしていないのに、


彼女は何も悪くないのに、


こんなことになってしまっているんだ。


渡しそびれた婚約指輪はどうしようかと思った。


籍も入れてない今、こんなもと持ってても仕方ないなって。


目を覚ましてくれ……目を覚ましてくれさえすれば……と思っていたのだ。