「こっちおいで」


お父さんが立ち上がると、辺りは明るくなっていく。


お父さんの後ろをついていく。


お父さんの背中、最後に見たのいつだっけ?


懐かしいなあ…


少し歩くと、何やら扉が見えた。


「ほら、ここを開けたらここから出れるよ」


「お父さんは行かないの?」


「父さんは行けないんだよ。」


「なんで?」


「柚姫を守るためだよ、父さんの事はいいから、早く行きなさい。」


父さんは扉を開けた。


まぶしい光がこぼれ出す。


振り返るとお父さんは笑顔だった。


「ほら、行きなさい」


「お父さん…また会えるよね?」


「きっと会えるよ…柚姫?自信を持って生きなさい。」


「お父さん…」


涙が溢れ出す。


「ほら、早く行きなさい。」


お父さんの言われるがまま、足を一歩外に踏みだして、振り返ると、お父さんはいなかった。


そのまま、光が私を包んで、スーッと見えなくなった。