母の声が聞こえる。

いつも通りの大きくて、よく響く声だ。


「辰也、辰也、早く起きなさい。アンタ、学校じゃなかったの?」


窓を見てみると、如何にも暑そうな、太陽が光っている。

眠たい体を起こし、母に言う。



「学校だけど、今日は、休みたいんだ」



今日は、土曜日で授業参観があった。



「何で、休むの?学校があるじゃない」



「熱っぽいんだ。それに、体が物凄く怠く感じる」



本当は仮病だ。

今日は、アニメフィギアの今日限定発売日でこれを逃したら、プレミアが付いて自分のお金では、手が届かない値段になってしまうからだ。



「そう、そんなに酷いの?病院いった方がいいんじゃないの?」



「大丈夫、これぐらいだったら、明後日の学校には、間に合うと思うよ」



「分かったわ。じゃあ学校に連絡しておくから、早く治しなさいよ」



「うん、分かってる。明後日までには、治せると思うよ」



話が終ると、母は買い物に行くからと言って家を出ていった。

母はどの行事の中でも、授業参観を楽しみにしていたので、ちょっと罪悪感を感じた。