ふと、VIPルームのドアが空いた






頼んでもないのに、運ばれてきたコーヒー







そのコーヒーの独特な香りとともに、サーッと風が通る











その一瞬、目の前の"彼女"が誰だか知れた













彼女の紅の髪がはらりとフードの中から出てくる







その1本1本が美しい絹のような滑らかな動きをした








僕はその動きに目を奪われる








その色は彼女の象徴だった








闇では知らない人はいない







でも、誰も彼女を見たことは無い









その彼女が目の前にいると思うと、体が硬直したように動かなくなった