人には一つや二つ、隠したいこともある





言えないこともある






私なんて、ほとんど言えない。言えていない。







そんなことを思っていると、






意を決したように紫雨が口を開いた







「あいつは、……珠樹はもうここには来ねぇ。」









え?








「な……んで。」







「理由はわからねぇ、」







「わからなくねぇだろ?!アイツは今苦しんでんだ!おれたちで助けに……!」



今にも紫雨に掴みかかりそうな葉瑞をサクが押さえつける





「葉瑞やめろよ!紫雨だって、……僕だって分かってるんだ!だけど、今はだめだ!」






葉瑞は舌打ちをしてドアの方へ歩いていく





「どこいくんだ。」





「……かえる」