「あんた、お巡りさんの仲間やろ?救急車呼んどるんか?」


「ああ、後数分でくる。」



殊犂の変わりに指揮に奔走する掎蹟は早口で言った。



「ならええけど。」



救急車は大袈裟……と思ったが、ジャケットを脱がされたことで自分の状態が結構危険ということが見てとれる。



血の気が引いて、更に体が冷えてきているのも自覚はあったが、パトカーでも大丈夫だと思っていた。



蜜穿が押し当てている服も既に赤に染まって、止血の機能を果たしているか分からなくなっている。



ただ、蜜穿が触れている部分だけは何故か温かさを感じていた。



「飴、魏…蜜穿……、も…、いい……疲れ、るだろ……」


「………………。」


圧迫の為にかなりの力で押さえているので、蜜穿の体の状態が心配な殊犂は止めるように言うが蜜穿は黙ったままだ。



手当てとは、手を当てる事と書くが実際にはどういう事を指すのか。



ぼんやりする意識の中で、殊犂はそんなことを思う。



処置をすることか?


消毒か?包帯か?治療か?



だが、方法はそれだけじゃないはずだ。


何故なら、広がった温かさに、痛みは和らいだ気がしたから。