「か、確保っ!」



蜜穿のおかげで叡執の手から拳銃が離れた為、掎蹟はすぐさま機動隊に取り押さえるように命じる。



「おいこら、みつばちっ!!どういうつもりや、おんどれ!」


「観念せーや!」


「大人しくせんかい!」



叫び暴れながら機動隊と揉み合う叡執を見ることも無く、蜜穿は無言で殊犂に近付く。



「お前みたいなガキごときが、俺を裏切ってんやないぞ!!この恩知らずが!おら、何とか言わんかいっ!みつばち!」


「………裏切る?うちには敵も味方もおらん。誰もおらんわ……」



連行されて行く叡執に対して、蜜穿は小さく吐き捨てるように言い、上着を脱いで下着姿になる。



「…!おい、何を………」



「お巡りさんやったら、あんな盾とはゆわんけどな。せめて防弾チョッキぐらい着ぃや。ほんま無茶苦茶やわ。」



探すのに必死で、身を守るという考えが頭から抜けていた。


そもそも非番だから、着ていないのは普通なのだが。



「あん時もそうやったけど、あんたはいっつも突然現れていっつも無謀なことする。」



殊犂からジャケットを剥ぎ取り、脱いだ服を押し当てて止血する蜜穿の手は震えていた。