掎蹟の言葉に軽いデジャブを覚える。



蜜穿の過去を、聞いてもいないのに楮筬からペラペラと語られた時、単純に自分が教えていけば良いと思った。



要らないことは知っているのに、肝心なことは何一つ知らないから。


的外れな答えではぐらかしてる訳でも鈍感な訳でもない。



両親に棄てられて、愛されたことが無いから、今まで誰かを愛したことが無いから、他人との距離感が分からないだけだから。


様子を見に行って、いかにバイト中無理しているか分かった。


蜜穿は気付いていないだろうが、病院で自分が見た笑顔とはまるで違う作られた笑顔だったから。





蜜穿が居るだけで喜んだり、


蜜穿が楽しそうなら笑みが零れたり、


蜜穿が苦しそうなら胸が痛くなったり、


蜜穿に嘘をつかれて泣きそうになったり、


蜜穿を横取りされそうになって怒ったり、


蜜穿が自分より他人に興味を示したら嫉妬したり、




モンタージュの様に殊犂の頭の中を巡るのは、蜜穿に対する出会ってからの自らのエモーション。


他でもない自分が、蜜穿のハジメテになりたくて。



気付かなかったとは言わせないと、心から言われているようで。