ピンポン♪………―――



「!」



スイートピーを見ながら、疲れか風邪か分からないがボーッとしていた。


控えめに1回鳴ったチャイムに、蜜穿の体がビクッっとなる。



「お巡り、さん……」



ドアを開けて見えたのは、見慣れた殊犂の仏頂面だ。



「なんや…家まで…ごほ……、教えた覚え…あれへんし、職権乱用し過ぎや。」


「潜伏場所を把握することは当然だ。……今日はそっちではない。」



蜜穿の様子に眉をひそめながら、殊犂が差し出したのは大きな袋。



中には、お粥の素·雑炊の素·カップうどん·茶碗蒸し·生姜湯·のど飴·スポーツドリンク·りんご入りのヨーグルト·バナナ等々…



風邪にはこれだ!……みたいな食材がたくさん入っていた。



「なん?これ…」


「風邪だと聞いたからな。これでしばらく外に出なくてもいいだろう。」



殊犂の意図は分からなかったが、とりあえず自分の為に買ってきたものだというのは理解出来た。



「まるで彼女やな…」


「かのっ…!!」



何故彼氏ではないのか。


性別が逆だと今にも怒り出しそうな殊犂だが、蜜穿は甲斐甲斐しく世話しそうだと思った。