幸せがあるから不幸なんだと感じる。
不幸があったから幸せを感じられる。



そのどちらかだけでは駄目なんだと、笑ったり泣いたり、両方あるから人生なんだと、教えてもらった。



そして、辛い過去に思いを馳せるのは止めて、現実の今を見つめ、優しい未来を夢見ようと思えた。



だから、法律違反のことをしていようと、絆栄商事や鰍掩は恩人。

それだけは変わることがない。



「ひなさん、コーヒー1つ。」


「あ、蜜穿ちゃん。かしこまりましたー」



蜜穿が大阪に来て早数ヵ月。


一向に馴染もうとしない蜜穿へ、剣と碑鉈はせめてあだ名で呼んで欲しいとお願いした。


あっさり呼んでくれたのはいいが、距離感はまだ遠い。



「蜜穿様、今日はどこにおったんですか?最近、テレビや雑誌がハニービーがえらい活動的やってやってましたけど。」


「そうそう。雑誌には、なんやでかでか書いとったで。ほら、これ。」



涓畤壟が広げた雑誌には、


『天才ハッカー ハニービー!!巨大な荒嵐の如く、四方八方から電撃を放ち悪徳企業を壊滅に追い込む!』


と、大きな見出しが。



しかし。



「それ、うちやないから。」