クラッカーにはご用心

『前は、進むべき道は、未来は、どこにあるのか?


振り返れば過去という、罪の足跡がある。



両親のせいで立ち止まったり、


廓念会のせいで曲がりくねったり、


叡執のせいでギザギザだったりしている。』







「蜜穿のおかげだ。礼を言う。」


「いちいち、堅苦しいやっちゃ。」



ただ、話す雰囲気には堅苦しさは全くないので、蜜穿は半笑いだ。







『二度と戻れないけれど、


戻りたくもないけれど、



そんな過去と共に生きていく。


模索しながら生きていく。』







「じゃ、俺は仕事に戻る。」


「ん、気ぃ付けてな。」



ヤク絡みの貸別荘にでも向かうのだろうか。


自身を気遣う蜜穿の言葉が嬉しいのか、気合いの入った背中に見える。







『殊犂という選択肢を選んで枝分かれしたとしても、


それが正しかったなんて誰にも分からない。



暗中模索に模範解答など存在しないのだから。


それを決めるのは自分しかいないのだから。』





「クラッカーがクラッキングされたんじゃ、ほんま形無しやでな。」



殊犂を見送る蜜穿はそう言って、幸せそうに笑った。