クラッカーにはご用心

セルフハンディキャッピングの如く、阻んだ痛みに二度としまいと誓った後悔はどこへ行ったのか。


蜜穿の言葉には、何か深い意味が含まれていたのではないか。



殊犂と一緒にいたら、また悪夢を見なければならなくなるかもしれないから?


あの時のように、守られた正夢を演じたのか?



そこかしこに散らばった伏線を、ひとつひとつ繋ぎ合わせていく。



「くそっ……!」



覚えがあり過ぎる、お馴染みの既視感に染まった。



「ことりちゃん!?」



何かしらの場所に行き当たったのだろう。


突然駆け出した殊犂を涓畤壟は追い掛けることも出来ず、驚き声を出すだけに終わる。



「はぁはぁ……はぁ…、いな、い……?」



殊犂が全力疾走で駆け付けたのは、自身が怪我をするはめになった栲袴のいた旧施設。


あれからも手付かずの旧施設には人気がなかった。



栲袴からとはいえ、あの時蜜穿は自ら死のうとしていた。


本来ならここで死ぬはずだったのだから、死に場所に選ぶならここしかないと思った。



ここ以外に考えられる所は無いのに。



「何故いない………」



その時、殊犂の携帯が着信を知らせた。